飛行機のマイルを取得した際の確定申告・住民税申告の必要性

仕事上の飛行機利用でためた70万マイルを元手に、夫の勤務先で部長主催の「マイル還元呑み会」が実施されたそうです。
そこで、ふと、部長ほどではないにしろそれなりに飛行機を利用する夫の場合、申告の必要があるのだろうかと気になりました。
自治体の税務課職員と話す機会があったので聞いてきました。

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マイルとはなにか

まず、所得には種類があります。
サラリーマンの給料であれば「給与所得」、不動産から家賃を得ている場合は「不動産所得」などです。

マイルは「一時所得」にあたる、とのことです。

マイルがいくらあれば申告する必要があるのか

マイルを含むすべての一時所得を合算して一年間(1月~12月)で50万円以下なら申告の必要がありません。

「1年間で」

まず、注意してほしいのは、申告の必要性の有無を判断するのは累積でマイルがいくらたまったか、という問題ではないことです。

給与所得の場合で考えてみるとわかりやすいかもしれません。
給与から天引きされる所得税(や住民税)は、その年の(住民税の場合は前年の)所得に対して課税されるものです。
給与所得が300万の人に、コツコツためた貯金が3千万あったとしても、所得税(・住民税)が課税されるのは300万に対してだけです。

マイルも貯金と同様に今までの累積額は関係ありません。
1年間(1月~12月)で獲得したマイルがいくらか、という話です。

現在のマイル残高は関係ない

そして、その年に獲得したマイルを使用したとしても、使用した分については考慮しません。
同様に、マイル残高も関係ありません。
あくまでも、1年間で獲得したマイルの額の問題です。

例えば、1年で給与3,000万円をもらっている人が豪遊してその年のうちに全額を使い切ったとしても、所得税は減額になりませんし、翌年の住民税もかかりますよね。
同じように、マイルをいくら使ったかは関係ないということです。
一年間に獲得したマイルのみで考えます。

一時所得とは

一時所得の計算において、まず、マイルを含むすべての一時所得を合算する必要があります。

では、何が一時所得にあたるかとなると、具体的には、国税庁のホームページをご覧ください。

簡単に言うと、一時所得とは

  • 「金もうけを目的としておらず」
  • 「働いて得た対価でもなく(飛行機に乗るのは労働ではない)」
  • 「譲渡の対価でもない(何かを売ってかわりにマイルをもらったわけではない)」
  • 「一時的な所得継続的にマイルがもらえることが確定していない)

ということになります。

マイルの他に、例えばクレジットカードのポイント等も一時所得に当たります。
他には、懸賞の景品や生命保険の一時金(契約者=受取人)などが一時所得に当たります。

得にはそれぞれ計算方法があります。
たとえば、給与の額=給与所得の額ではありません。
所得の額を計算するにあたって、控除されるものがあります。

一時所得の場合には50万円の特別控除があります。

そして、それらの一時所得の合計が50万円(特別控除額)を超えなければそもそも一時所得が0円なので、一時所得の申告の必要がないことになります。

まず、一年間で一時所得がそんなにあるかを考えてみる必要があります。
例えば、一年で、マイルが20万円分、クレジットカードのポイントが10万円分、懸賞に応募して5万円をゲットした場合で考えてみると、20万円+10万円+5万円<50万円(特別控除)ですので、一時所得の額は0円となります。

夫の場合もそうですが、多くの場合は、この時点で0円となり、申告の必要はないということになります。

ちなみに、一般のサラリーマン(年末調整済み)であれば確定申告の義務は生じませんが、何らかの理由により、確定申告の義務が生じる場合や、申告をしたほうが有利になる場合があります。
その場合、申告書類の一時所得の欄に記載する金額は特別控除後の金額ですので、上記の例であれば、「0円」でよいということです。

一時所得の金額が発生する場合

今まで、簡単に考えるために、あえて経費の話をしてきませんでした。
一時所得(特別控除前)の合計額が50万円以下の方の場合、わざわざ経費を考えなくても一時所得の額は0円と計算されるので、それで十分だからです。

しかし、50万をひいても、なお、余りがあるという方の場合、もう少し丁寧に考える必要があります。

一時所得の計算方法(正式)

実は、正確には、一時所得の計算方法は、収入-経費-特別控除(50万円)と表されます。

たとえば、学資保険の満期金で考えると、受け取った満期金が収入、それまでに支払った払込保険料が経費となります。
満期金300万、払込保険料が280万円であれば、収入(300万)-経費(280万)と考えます。

全ての一時所得をそのように経費をマイナスした上で合計し、そこから更に特別控除の50万円をさらに控除して残額がある場合に初めて申告の問題になるということになります。

さて、実は、更に所得税の場合は、給与所得者の特例というものがあります。一か所からのみ給与をもらっている場合は、給与所得・退職所得以外の所得が20万円以下の場合は、申告不要となるというものです。副業などをして2か所以上から給与がある場合は、副業分の収入・その他の所得とあわせて20万円以下の場合申告不要となります。

よって、給与と一時所得以外に所得がない場合、特別控除後の一時所得金額20万円まで確定申告は不要となります。

ただし、住民税には上記の申告不要制度は適用されないので、確定申告は不要でも住民税申告は必要になります。

税務の実際

ですが、私が話を聞いた税務課職員は、自分自身はマイルの申告もクレジットカードのポイントの申告も受けたことがないと言っていました。

そもそも、マイルもクレジットカードのポイントも1マイル(1ポイント)=1円換算でよいのか、使わずに失効したらどうするのか、経費をどう考えるかなど面倒な判断がたくさんあると思います。
実際にそんな確定申告の相談があれば、どう対応するのかと質問すると「税務署か税理士案件」。住民税申告だけの場合は、と聞くと「申告しなくていいんじゃない」というのが本音のようです(彼個人の考えです)。
税務については、ケースバイケースの上、税務署や自治体の税務課吏員の考え方次第の面があるので、特別控除の50万円を超えるような場合は、基本的には確定申告の必要性に関しては税務署に確認してください。

ちなみに、マイルやクレジットカードのポイントは令和元年8月時点では自治体に通知される制度がありません。よって自治体側では把握ができていないというのが現状です。

逆に、学資保険の満期金等保険関係の所得についてはきっちり保険会社から自治体に連絡がいっています。当然自治体は保険関係の所得を把握しており、たとえ住民が申告をしておらずとも住民税にも反映されています。この場合、申告義務がある(一時所得がある)のに確定申告が行われていないと、自治体から税務署におしらせがいき、結果的に延滞税や場合によっては無申告加算税等が課されたりしてしまうことになりかねないので、必ず申告してください。

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